WEBライターがブックライティングに挑戦するメリット、両立のポイントとは

先日Twitterでブックライティングに関するツイートをしたら、意外に反響がありました。

https://twitter.com/Ayumi_writer/status/1243121143524945920

(書籍担当者の方!愚痴ってごめんなさい!!)

ブックライティングはまだライター始めたての頃にご縁をいただきました。あのときにチャレンジしておいて本当によかったです。ただ仕事の取り方を間違えると、収入面で困ってしまうことも。

そこでこの記事では、WEBライターがブックライティングに取り組むメリットや、WEBと紙の仕事を両立するポイントなどをシェアしたいと思います。

なお本業・ブックライターの方には到底太刀打ちできないし、スキル・経験ともその足元にも及びません。またすでに出版業界を知っている方は既にご存知の内容です。

ブックライティングに少し興味がある方に、「へえー」程度の感想を抱いてもらえたら嬉しいです!

書籍の新刊ラッシュを支えるブックライター

初めてブックライターの話をいただいたのはライター始めて数ヶ月、まだピヨピヨの初心者だったときでした。

ある日突然、クラウドソーシングサイト・ランサーズのメッセージで「書籍の執筆に興味はありませんか?」と編集プロダクション(以下、編プロ)の方から連絡をいただいたんです。

編プロに一度伺ったところ、ブックライターが慢性的に不足しているので、ブックライターの人とチームを組んで仕事をしない?という話をされました。

このときに知ったのは、日本で出版されているビジネス書の約9割は、著者の代わりにブックライターが書いているということ。

電子書籍の普及や活字離れの影響で紙の書籍が売れない時代なので、多くの出版社は新刊をどんどん発行して収益を上げているスタイルを取っています。だから新しい企画は常に求められるし、書籍の執筆機会も増えているんだそうです。

約9割はさすがに誇張かもしれませんので参考程度にしてください。でもたしかに日々多忙なはずの有名人や著名人が書籍を何冊も書けるのか疑問だったので、この小さな謎が解けました。

また以前のブックライターは「ゴーストライター」と呼ばれ、その存在は隠されてきたようですが、最近は巻末に「執筆協力者」としてライター名が載せられるほど、公の存在になっています。

そんな業界知識を教えてもらいつつ金融関連の書籍の一部を執筆したのが、初めてのブックライティング経験になりました。

WEBライターがブックライティングに挑むメリット

当時まだ0.5円〜1円ライターだったので、あまり自信がなく引き受けるか悩みました。しかし結果的には挑戦して本当に良かったです!パッと思いついただけでもこれだけのメリットがありました。

約10万文字の長文でライティング力アップ

WEBライティングだと1記事当たりの文字数は、3000字程度から長くても8000字程度。1万文字を超える案件は稀です。

一方のブックライティングは、1冊丸ごと執筆すると7万字から10万円字ほど。これだけのボリュームを執筆すると、嫌でもスキルアップできます。集中力や書くスピードも相当上がりました。

インタビュースキルが向上

書籍を作るときは基本的に著者さんにインタビューをして、その内容をまとめます。ある本を作ったときには著者さんが中部地方住まいだったので、東京に来るタイミングでアポイントを取り、2時間×3日かけてインタビューしました。

1冊作るためにはかなり話していただかないと薄っぺらい内容になってしまうので、あらゆる角度から質問し続ける力は身についたと思います。

この経験からその後もインタビュー記事を執筆する機会が増え、いつのまにか自分の得意ジャンルのひとつになっていました。

文字起こしの量もなかなか多かったし(涙)、あの執筆期間はライターとしての「武者修行」でした

紙媒体の実績で信頼アップ

これは個人的な体感ですが、書籍の実績ができたことでライターとして信頼されるようになった気がします。

WEBライターは未経験から始めた人も多いので「ピンからキリまでいる」というイメージ、紙媒体は出版社や編プロが関わるので「実力があるライターしか書けない」という印象があるのかなと思います。

紙媒体の実績は箔が付く。このメリットが一番大きいと感じているので、話をいただいたら積極的に受けるようにしています。

WEBライティングとブックライティングの相違点

WEBと紙ではそのお作法やスケジュール感などが違います。私が感じた相違点は2つあります。

書籍は納品から報酬が入るまでが長い!

WEB記事は〆切まで数日や1週間〜長くて2週間程度だと思いますが、書籍は2〜3ヶ月程度の時間をかけて執筆します。納品後は編プロや著者さん、出版社のチェックが入り、修正・校正を終えてから発売されます。

基本的には書籍が発売されてから報酬が入ります。よって執筆が終わってからお金が振り込まれるまで数ヶ月かかることが多いでしょう。

ちなみに報酬の計算は買い切り型と印税型に分かれます。買い切り型は1冊分のライティング費用として◯◯円という決め方。印税型は書籍の初版発行部数×定価の◯%という決め方で、もし重版がかかればまた報酬がもらえます。

どちらを採用しているかは編プロや案件ごとに違い、こちらからは指定できませんが、両方あるんだな〜と思っておいてください。

書籍の編プロや出版社には企業と取引する安心感があります。しかし納品から報酬のスパンが相当長くて、しかも契約書を巻かないことが慣例になっているようなので不安が大きいんですよね。信じて待つしかないです……。

WEBは文字数、書籍はページ数で管理

WEB記事は書いてほしい文字数をリクエストされることが多いです。一方書籍は作成したいページ数や行数、一行当たりの文字数が決まっているので、書きたい内容をそのフォーマット内に収めるようにします。

またWEB記事は改行によって読みやすくしますが、書籍は改行はあまりせず、文章の頭に空白を入れる「字下げ」をします。

なので書籍のライティングをするときには、Wordで行数・文字数指定+字下げの設定をしたフォーマットを作っておくと便利です。

WEBライティングとブックライティング両立のポイント

これからブックライティングも受けてみようかな、積極的に取りにいこうかなという方へ、気をつけるべきポイントをお伝えします。私の失敗をぜひ生かしてください……!

無収入になる月はWEB記事の報酬でカバー

一番声を大にして言いたいのはこれです!!!

書籍は報酬が入るまでに相当な時間がかかります。今刊行待ちの案件は11月に執筆終了していますが、刊行は5月らしく(正式には聞いていない)、そうなると報酬が入るのは6月。つまり半年後ですね。

昨年は自宅で子どもを見ながら書いていたので時間がなく、10月〜11月はWEBの案件をすべてストップさせていただきました。なので、11月〜12月は無収入になったわけです。生活費は貯金から出しましたが、まあ…資金繰り困難でした…(笑)。

なので書籍の執筆を受けるときは、平行してWEBの仕事もして、無収入になる月が出ないようにすることを強くお勧めします。本当にお勧めします。

時間配分を間違えない。過信NG

例えばWEBライティングで1時間に1000字書ける人が、同じ時間配分で計算して書籍の仕事を見積もると、おそらく痛い目にあうと思います。私は書き慣れているはずの内容でも、書籍の方がなぜか2倍ほど時間がかかります。

おそらくまだ書籍用の執筆に慣れていないことと、書籍=間違った内容を書いたらやばいという危機感がそうさせるのかもしれません(いやWEB記事だって間違ってはいけないんですよ!でも間違ったらすぐ修正できるという点はWEBのメリットかもしれないです)。

書籍の仕事は普段の2倍〜3倍程度の工数を見積もっておき、空いた時間にWEB記事を入れれば、後に来る〆切地獄を防げると思います。

いろいろ言ったけど、ブックライティングはメリット満載!

WEBライターがブックライティングにチャレンジするメリットはたくさんあるので、資金繰りや工数管理に注意しつつ、挑戦したらいいと思います。

初めて書籍の巻末に自分の名前を見つけたとき、「あ、家宝ができた」と思いました。そして自分よりも両親の反応の方が大きくて、「あんた本書いたの!すごいね〜!!」と喜んでもらいました(感無量)。

私も年1冊は書き続けて、本業の方に少しでも近づけるように、そして本を買った人に喜んでもらえるように実力を磨いていきたいと思います!

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